日本スポーツ精神医学会はスポーツ現場での体罰・ハラスメントに対し断固反対する
この度の高等学校のスポーツ部活動に関連した体罰問題に象徴される、学校教育におけるスポーツ場面での体罰・ハラスメン ト、ならびにJOCが現在調査中である女子柔道代表強化合宿中の体罰を例とした、トップアスリートに対する体罰・ハラスメントについて、日本スポーツ精神 医学会は断固反対し、学術団体として研究・調査の両面から再発防止に協力していきたいと考えています。
これまで本学会ではスポーツと精神の関係について多面的に議論を行ってきましたが、残念ながら今回の事件が明らかになるまで学会として体罰やハラスメン トに関する明確な姿勢を示してきませんでした。しかし、スポーツ指導における体罰は、技能の向上への効果に関して科学的に根拠がないばかりでなく、何より もスポーツを愛する青少年の心を深く傷つけているのは論を待たないと思われます。また、日本スポーツ精神医学会では、これらの体罰が指導の世代をこえて伝 達継承されてきたという側面にも注目し、自らの体罰経験を下の世代に伝えないための方策について具体的な提言をして行きたいと考えています。また、このよ うな体罰・ハラスメントは、より効率的なトレーニングを阻害し、結果として日本の競技力の発展を妨げるものでもあると考えられます。スポーツ指導者にはこ の問題を真摯に捉えていただき、今後アスリートの人権を十分に尊重し、アスリートが自己の能力を最大限に伸ばしてゆくために、たとえ自己の体罰体験があっ ても、強い自制心をもってそれを後世に伝えない指導を行っていただくことを強く求めます。
平成25年2月 25日
日本スポーツ精神医学会
理事長 内田 直